先週の根岸ステークスに出走し、8着と敗れたロゴタイプ。
結果的にはダート競馬は甘くないという現実を味わう形となった訳だが、それでもポジティブな面はいくつか見られたと思う。
筆者的には予想以上に頑張った感じられた今回のロゴタイプの挑戦。少しじっくりと振り返ってみたいと思う。
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全盛期の姿を取り戻したロゴタイプ
以前、『
ロゴタイプのダート挑戦は成功するのか失敗するのか?馬体や追い切り、データなどを踏まえて考えてみた』という記事でロゴタイプのダート挑戦に関する可能性を考察した。
その中の追い切りに関する項目で、
「仕上がりは前走以上」と記したのだが、根岸S当日にパドックに登場したロゴタイプは、筆者の予想以上に良化した姿を見せていたと思う。
良くなかった頃のロゴタイプは、背中から腰にかけてのラインがピンとせずに緩さが目立ち、結果として腰を高い位置で保つ事が出来ずシャキシャキと歩けていなかったのだが、この日の同馬はそういった面での不満が解消され、実にリズミカルに歩いていた。
これは体幹が強化されしっかりしたことを現しており、結果としてトモ(後肢)が生み出す推進力を胴体がしっかりと受け止め、その推進力を以前よりもロスなくスピードに転化出来る態勢が整った事を意味している。
また馬体の張りも不調時より格段に良くなっており、醸しだす雰囲気などもまさに超一流馬のソレだった。
その姿は明らかに完全復調を成し遂げたばかりか、下手をすると過去最高の仕上がりにも思えるほどで、パドック登場前は完全に消しという評価を下していた筆者が、思わずその考えを撤回し単勝馬券を買いたくなるほど心揺さぶられた程である。
敗因はレース展開とダート競馬の経験値
レースに関しては良く頑張ったのではないだろうか。
前記事の『
待望の勝利で一皮向けるか!?エアハリファが重賞初制覇! ~2015根岸ステークスレース回顧~』でも書いたが、このレースは先行した馬が総崩れとなったレースで、その中でもロゴタイプは健闘していた方だからだ。
道中はインの4~5番手を進む形となり、不安視されていたキックバックの洗礼をモロに浴びる形となった訳だが、水分を含んだ重い砂を被ってもさほど怯まず、しっかりと追走できていたロゴタイプ。
直線では前を行くサトノタイガーの外に出すと、クリスチャン・デムーロ騎手の叱咤に応えラストスパート。残り200m付近では先頭に立つ勢いで、一瞬勝ったかと思わせる場面を見せた。
その後は流石に末脚が鈍り後続馬に飲み込まれる形になったものの、初ダートであれだけ見せ場を作れれば充分だろう。予想以上の好走だったと思うし、今後に向けて可能性を感じさせるレース振りだったと思う。
予想以上に頑張ったロゴタイプだが、それでも敗因を探るとすれば
「先行馬に不利なレース展開」と
「ダート競馬の経験値の無さ」の2つが挙げられる。
1つ目の
「先行馬に不利なレース展開」だが、これは凍結防止剤の影響による走りにくい馬場状態に加え、どうもこの日は内ラチ沿いから3~4頭分ぐらいまで砂が深かったらしい。
たしかにこの日のダートレースを見ていると、その部分を避けて通った馬の好走が良く目立った。先行する馬はその戦法の性質上、どうしてもその部分を避けて走る事は難しい為、余計に砂の深いところを通って消耗してしまったのだろう。
逆に差し馬は外を回らざるを得ない事が多い為、この日に限っては結果的に吉に働いた可能性が高い。
また2つ目の
「ダート競馬の経験値の無さ」についてだが、どんなスポーツにおいても人間も馬も一度経験したかしないかで、局面において発揮できるパフォーマンスに違いは当然出てくる。
例えば人間がトラックでの200m走に出走したとしよう。
初めて走る場合は事前に色々とシュミレーションを重ねたとしても、実際に走った経験が無いのでこの場面ではこういう走り、ここではこういう走りという確かな判断が出来ずに100%の力を発揮する事は当然無理だ。
しかし1度経験すれば少なくともある程度の情報は経験として入手出来るので、たとえ無意識の内でも次の走りに確実に活かすことが出来る。
これは馬にとっても当てはまる。初めてダートレースに出走する馬は、そもそもどういうフォームで走ったら良いかも、どのくらい力を込めて走って良いかも分からない。
特にダートというのは芝よりも走る時にパワーを要求されるので、地面を蹴る際にいつも以上に力を込めて蹴る必要があるのだが、その時に力み過ぎると筋肉は直ぐに疲労してしまい結果としてガス欠、スタミナ切れに陥ってしまう。
この日のロゴタイプなどはまさにそんな感じだろう。鞍上のデムーロ騎手はレース後『ジリジリとしか伸びなかった』とコメントしているが、ラップを見るとそんな事は無い。残り400mから200mの勝負どころの区間では、推定11秒5前後のしっかりとした脚を使っている。
しかしそこで力を使い果たしてしまい脚が上がってしまった為、最後の200mで失速し後続馬に飲み込まれてしまったというのが本当のところだろう。恐らく最後の200mは先の区間よりも1秒遅い、12秒5前後のラップで駆け抜けていると思われる。
もし1度でもロゴタイプがダート競馬を経験していたら、もう少し失速率は小さかったであろう。肉体的にも精神的にも、1度経験していたら2度目はもう少し頑張れるものだからだ。
これらのことを考えると、予想以上に健闘したと思われる今回のロゴタイプのダート挑戦。もしこのままダート挑戦を続けるならば、もしかしたら面白いことになるかなーと思っていたのだが・・・。
レース後、陣営は次走は中山記念と発表。ひとまずロゴタイプのダート挑戦は幕が下ろされる事となった。
軽い気持ちでダートに使って欲しくなかった
いや、元々ロゴタイプはダート馬じゃなくて芝馬だと思ってたし、その決断自体は正しいものだと思っている。
ただ、こんなにアッサリ芝回帰を打ち出すなら、そもそも何故ダートを使ったのか?と思わざるを得ない。そんな軽い気持ちなら、ダートなんて使わなければ良かったやん!と。
今回ロゴタイプが根岸Sに参戦した事により、賞金的に泣く泣く路線変更を余儀なくされたダート馬もいる筈だ。特にダート路線は上の世代が賞金を多く持っている為に、若い世代の有力馬がレースに出走し辛い状況が続いている。
今回のロゴタイプ参戦は結果的にそういった馬たちの賞金加算のチャンスの芽を奪う結果になってしまった訳で、何ともモヤモヤするものを感じざるを得ない。陣営には半端な気持ちで使うんじゃないよと、愚痴の一つもこぼしたい気分だ。
いずれにしてもロゴタイプは次走以降、本来の戦場である芝路線へと戻る。この再転向自体はロゴタイプにとって歓迎すべき出来事なので、ようやく取り戻した全盛期の姿で、芝中距離路線に旋風を巻き起こして欲しいと願っている。
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