骨折という大きなアクシデントにも負けず、凱旋門賞制覇という大目標に向けて復帰してきたキズナ。
復帰戦となった京都記念は残念ながら3着と敗れたが、素晴らしい末脚で3着に追い込んできており、スターホースの意地は見せたと言えるだろう。
今回無事に復帰したキズナの走りを見て筆者が何を思ったか、レース回顧として記してみたい。
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キズナの京都記念を振り返る上で、3つの気になるポイント
キズナの京都記念で気になるポイントを列挙すると、以下のようになる。
- 休み明けとプラス22キロという大幅な馬体増
- 前残りの流れの中、ただ1頭追い込み3着
- 京都競馬場の芝コースにおける適性
それでは一つずつ考えてみよう。
休み明けとプラス22キロという大幅な馬体増
514キロというデビュー以来最高の馬体重でパドックに登場したキズナ。さすがにちょっと太かったと思う(苦笑)
目に見えてお腹が出ていた訳ではなかったが、やはり少し胴回りが太かったのは間違いないだろう。あと肩やトモにも少し脂肪が残っていた。
あと少しトモの幅が薄くなったような気はした。キズナはディープインパクト産駒の中ではかなり筋肉質な方だが、以前はもっとムキムキしていた気がする。この辺は休み明けで、まだ本来の筋肉が戻り切っていないのかもしれない。
総合的なジャッジとしては、普通の休み明けよりやや劣る仕上げといったところであろうか。
力量的には抜けた存在だけに掲示板を外すような凡走はしないと思ったが、勝つのはちょっと厳しいかな?というのがパドックを見た時点でのキズナに対するジャッジだった。
前残りの流れの中、ただ1頭追い込み3着
そんな状態だったキズナだが、レース本番では上がり33秒3という素晴らしい末脚で3着へと追い込んできた。この走りには正直驚いたというのが素直な感想である。
レース前半の3ハロン通過が36秒8、1000m通過が1分1秒2というスローペース。レース後半こそかなり締まった流れになったものの、結局1、2着馬は前で競馬した2頭で決まるという典型的な前残りの競馬で、後方からただ1頭追い込んできた事実は大きい。
それこそキズナの末脚が超一級品であることの証明であり、また骨折というアクシデントに見舞われても、その能力に翳りは見られなかったという証でもある。
流石にレースの上がりが34秒0だったので、追い込みという戦法では差し切るまでは行かなかったが、勝ち馬までハナ+クビ差まで追い詰めたのは見事だった。先着した2頭とも、最後まで脚は止まっていなかったからね。
レースの流れがもう少しシビアならば、或いは差し切っていたかもしれない。もちろん息持ちなどを抜きにした単純な考えではあるが。
仕上がりとしては贔屓目に見ても8割程度だっただけに、休み明けで激走した反動が出なければ、次走は更にパフォーマンスを上げてくるのは間違いないと思われる。
京都競馬場の芝コースにおける適性
ここでキズナの京都競馬場、芝コースに対する適性について考えてみたい。
基本的な事実として、京都競馬場芝コースにおけるディープインパクト産駒の成績は抜群である。もちろんリーディング種牡馬なので他のコースの成績も優秀なのだが、その中でも京都競馬場、特に外回りコースの成績は抜群だ。
キズナも基本京都競馬場での成績は良い。ここまで5戦3勝、馬券圏内を外したのは昨春の天皇賞での4着のみだ。
ただキズナの力を発揮できるベストな舞台かと問われると、イエスとは言えない。京都競馬場は追い込みというキズナの戦法には余り向かない競馬場だし、何よりもキズナはどちらかというとパワーを活かせる馬場の方が向いている馬だから。
恐らくベストは阪神競馬場の外回りコースだろう。ここならば直線の長さは追い込むに充分あるし、最後の急坂はパワーに溢れるキズナにプラスになりこそすれ、マイナスに働く事はまず無い。
ただ問題なのは、阪神外回りコースにキズナに向くような中距離以上の重賞が無い事か。キズナが出走しそうな阪神競馬場の古馬中距離重賞と言えば大阪杯と宝塚記念だが、2レースとも内回りコースで施行されている。
ベストの舞台で走るレースがないということは、キズナにとって不幸な事と言えるかも知れない。
今年のキズナを占う上で大事な一戦は次走か
競走能力喪失までも覚悟した骨折から、見事復帰を果たしたキズナ。今回の余裕を残した仕上げで3着という結果は、キズナが以前と変わらぬ一流馬であることをファンに証明したと言えるだろう。
その上で大事なのは次のレースだと思う。以前と変わらない事は証明した。次は以前よりも進化する可能性があることを、レースの結果においてファンに示す必要がある。
今年のキズナの大目標は、2年前に夢破れた凱旋門賞制覇だ。この大目標を達成する為には、以前と同じ姿のままのキズナでは厳しい。2年前よりも進化している必要がある。
幸いと言えるかどうかはわからないが、奇しくも2年前に夢を砕いた相手であるトレヴが、今年も凱旋門賞3連覇の偉業を賭けて出走してくる予定だ。キズナがリベンジする相手として最高の相手だろう。
とりあえず今回のレースで更なる進化を期待させる予感は、微かに垣間見せた。次走でよりはっきりとファンの眼前にソレを示してくれれば・・・。応援するファンの期待も更なるものとなるだろう。
果たして次走の大阪杯で、2年前よりも進化できる可能性を示す事が出来るか?キズナと武豊騎手が何を見せてくれるか注目したい。
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