社台グループと、武豊騎手の確執が伝えられて久しい。
以前は長年蜜月の関係にあり、多くのタイトルを獲得してきた両者。しかし近年は武豊騎手が社台グループ関係馬に騎乗することは殆ど無くなり、それと比例するかのように成績も落ち込んでいる。
一部の競馬関係者の間では、『もはや関係修復は不可能ではないか?』と伝えられていたほど冷え込んでいた両者の関係だが、ここに来て日本ダービーでアルフレード、安田記念でローズキングダムに武豊騎手が騎乗することが相次いで発表された。
多くの競馬ファン、そして関係者を驚かせた今回の発表。これは一体何を意味するのだろうか?
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社台グループと疎遠になった理由
そもそも社台グループと武豊騎手が疎遠になった理由だが、二つほど噂されている。
一つは武豊騎手の衰え。
以前はどのような位置から競馬しても、ゴール前では計った様に勝ち負けに持ち込んできていた武豊騎手だが、近年は『溜め殺し』という言葉に代表されるように、そのまま馬群に沈んでしまい人気を裏切るケースが増えていた。
それにプラスして、2010年には落馬事故の影響で長期離脱も経験。復帰後も怪我の後遺症か、以前なら間違いなく御せていた馬を御せない場面が見られるようになり、とうとう社台グループ首脳から見切りをつけられたという説。
もう一つは騎手クラブ会長として、社台グループと対立したという説。
同騎手は2010年から前任の柴田善臣騎手に代わり、日本騎手クラブ会長に就任した。日本騎手クラブとは、言ってみれば騎手の権利・利益を守るための団体。当然のことながら、騎手関連の改革を促す勢力とは激しくぶつかる事になる。
武豊騎手も会長就任後、騎手の利益を守る為に色々と働きかけをしてきたという。そうした働きかけの一つに『短期免許で来日する外国人騎手を制限して欲しい』という働きかけがあった。これが外国人騎手来日を推進してきた社台グループの逆鱗に触れ、両者の激しい対立に至ったのだという。
共にあくまで噂である。しかし信憑性はそれなりに高いのではなかろうか。
明らかな成績下降
現在の日本競馬は、社台グループ生産馬なしでは語れない程になっている。
天才と謳われた武豊騎手も、社台グループとの関係が冷え込んだ後は目に見えて成績が下降した。
それまで年間100勝以上は当たり前だった勝ち星も、2010年は69勝、2011年は64勝に留まり、ここ二年は毎年受賞し続けてきた騎手三賞も受賞していない。そして昨年には23年間継続してきたJRA・G1制覇の大記録も、遂に途絶えてしまった。
近年は確かに衰えが目立つものの、それでも福永騎手などにはまだまだ劣っていないと思われるのだが・・・。いかに天才といえども、馬に恵まれなければどうにもならないという事実を良く示している。
関係修復?
そんな状況にあった両者の関係だが、ここにきて『関係修復?』と受け取られるような動きを見せつつある。それがアルフレードとローズキングダムへの騎乗。共にキャロットファーム、サンデーレーシングというノーザンファーム系クラブの所属馬である。
今までもたまに両クラブの馬には騎乗していたが、あくまで他に騎手がいない場合に限られていた。今回も両馬に騎乗を予定していた騎手が乗れなくなった為の乗り代わりでは有るが、共に騎乗するレースはG1。他に騎手がいない訳ではない。
オーナーサイドが動いた訳ではなく、あくまで騎手サイド、厩舎サイドが動いた末での騎乗決定らしいが、そもそも今までの経緯を考えれば、いくらアプローチがあったとしてもオーナーサイドがOKを出すことは考え辛い。
その予想を覆しての今回の騎乗決定。
社台ファームとは相変わらず冷戦状態が続いているみたいだが、ノーザンファームとは少しずつ雪解けに向っている。そう受け取っても良いのではないだろうか?私はそう思っている。
やはり武豊がいないと
競馬ファンの間では『溜め殺し』『衰えた』などと相変わらず厳しい声が飛ぶ武豊騎手だが、最近は大分復調してきたのではないかと思っている。
相変わらず馬質は良くないが、その中でも『さすが!』と唸る騎乗を見せ、現在騎手リーディング17位。社台グループに寵愛され、乗り馬に恵まれている池添騎手よりも上なのだ。
重賞でも京都記念のトレイルブレイザーや、フラワーCでのメイショウスザンナのように、見る者を唸らせる騎乗を時折見せている。雇っているエージェントがアレなだけに、騎乗馬の質が中々上がらないのが残念でならないほどだ。
ここ数年はポスト武豊として福永騎手がプッシュされているが、正直まだまだ顔じゃないなと思う。なにせ華やかさが足りない(苦笑)その飄々とした態度から、『コイツやる気有るんか?』と思われるほどだ。
またソツの無い騎乗で現在リーディングトップだが、明らかに騎乗馬に恵まれている印象で、全盛期の武豊騎手と比べれば取りこぼしも目立つ。正直、今後の日本競馬界を背負って立つ器では無いだろう。
その他の若手騎手もイキの良いのはいるが、帯に短し襷に長しといった感じでパッとしない面子ばかり。昔は武豊騎手以外にも存在感溢れる騎手は多くいたものだが・・・。これも競馬人気が下がっている一因とも言え様。
そう考えると、まだまだ武豊騎手には頑張ってもらわねばならない。
やはり世間一般への知名度という点では、武豊騎手以上の存在は無い訳だし、何より華やかさ・存在感が違う。彼が有力馬に騎乗しているだけで、レースがグッと締まる印象を持つのは私だけでは無いだろう。
日本競馬が生んだ稀代の天才騎手である武豊。今後の競馬界の為にも、今回の出来事が良い方向へ向く事を一競馬ファンとして願っている。
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