オルフェーヴルが復活した理由とは  ~第53回宝塚記念(G1)レース回顧~


2012宝塚記念

その瞬間、阪神競馬場は大歓声に包まれた。先頭でゴール板を駆け抜ける黄金の馬体。誰もが彼が本来の姿を取り戻す事を期待し、その光景を目の当たりにするのを望んでいた。

三冠馬オルフェーヴル。稀代の天才サラブレッドは、天皇賞でのまさかの惨敗で大きく傷ついていた。果たして彼は復活できるのか・・・誰もが不安を抱いていたことだろう。

そんな競馬ファンの不安に、自らの走りで『大丈夫だよ!』と応えてみせたオルフェーヴル。やはりこの天才サラブレッドは実に魅力的な存在だ。その天衣無縫の走りは、人々の心をガシッと掴んで離さない。

高らかに復活の声を挙げた三冠馬オルフェーヴル。この稀代の天才サラブレッドは、今後どこに向っていくのであろうか?彼の旅路の果てを、しっかりと見届けたい。
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●オルフェーヴルの勝因

まず第一に展開が向いたことが挙げられるだろう。逃げたネコパンチが作ったペースは、前半1000m58秒4という馬場を考えればハイペースと言って良い流れ。これをそれほど間隔を開けずに各馬が追走したのだから、先行した馬たちがほぼ総崩れになったのも納得できる。

オルフェーヴルはこの流れを中団からやや後方のポジションで追走した。結果としてベストのポジションにいた訳で、充分脚が溜まっていたオルフェーヴルが、直線弾けたのも当然だったと言えるだろう。

あと池添騎手も今回は良い騎乗を見せた。この日の阪神の芝はあからさまな外伸び馬場だったが、直線彼は外に出すことなく内を突いた。有力馬が皆外に廻して脚を消耗する中、内を突いたオルフェーヴルは余計な脚を使うこと無く、その分鋭い末脚を見せる。

仮に外を廻していたらこれだけ鋭い末脚は使えなかったであろう。元々オルフェーヴルは悪化した馬場を苦にしないタイプだけに、この判断は正しかったと思う。天皇賞では色々言われた池添騎手だが、少しは面目を取り戻せたのではないだろうか。


●オルフェーヴルの状態

オルフェーヴルが強い勝ち方を見せたせいで、戦前の池江調教師による『状態は7割』という発言が物議を醸している。要はこの発言はブラフであり、結果としてファンを騙したのではないかという疑いをもたれている訳だが、それは考えすぎだと思う。

実際の問題として、オルフェーヴルは決して万全の状態でなかったことは確かだ。状態が7割というのはやや言い過ぎだったかもしれないが、全盛期のオルフェーヴルに比べたら良いとこ8割から8割5分程度の仕上がりだったと私は思っている。

一括りに状態とか仕上がりとか言ってしまうからややこしいのかも知れない。まずオルフェーヴルの体調自体は明らかに良くなっていた。天皇賞時に見られた下痢も見られなかったし、毛ヅヤも良かった。体調だけなら9割以上の状態に仕上がっていたと思う。

問題は筋肉が落ちていたことだ。今回オルフェーヴルは昨年の秋以降もっとも軽い456キロの馬体重で出走してきたわけだが、昨秋より大体6キロから10キロ減らしていた。これは単純に筋肉の量が落ちた分だと思う。

実際この日のオルフェーヴルは菊花賞や有馬記念と比べると、後肢の筋肉が落ちていたし、全体的な逞しさにも物足りなさを抱いた。明らかに昨秋の完成されたオルフェーヴルの馬体とは違っていた訳だから、やはり万全な状態とは言えなかったと思う。

体調は悪くなかったが、全体の筋肉量は落ちていた。7割という数字はともかくとして、池江師の発言がブラフではなかったことは間違いないと思う。


●精神力で走る馬

池江師の発言がブラフだと主張する人たちは、『ならば万全の状態だったとしたら、後続をもっとブッ千切っていた筈。それは有り得ない』と主張しているようだが、それは根本的に考え違いをしている。

競走馬というものは8割の状態で、8割のパフォーマンスしか発揮出来ないわけではない。稀な存在ではあるが、8割の状態でも精神力で9割の時のパフォーマンスを引き出す馬は存在する。それが気持ちで走るといわれる馬だ。

そんな非科学的な・・・という声が上がるかもしれないが、この世界のことは全て科学で割り切れるわけではない。過去にも1年ぶりの有馬記念を制したトウカイテイオーのように、常識では測れない走りを見せてきた馬は、稀にではあるが存在してきた。人間でもそういう事例はいくつでもあると思う。

この日のオルフェーヴルは、天皇賞時と比べても明らかに気合が違っていた。気力が充実していた。その充実した精神状態が、100%ではないものの、90%に近いパフォーマンスを精神力で引き出したのだと思っている。


●今後のことよりも、まずは疲れを癒して欲しい

今回、万全ではないにも関わらずこれだけのパフォーマンスを発揮した以上、いつものレースよりもオルフェーヴルに掛かった負担は大きいものになっていると思われる。大なり小なり間違いなく反動が出ると思われるので、今後の調整には慎重を期す必要があるだろう。

レース後、気の早い人たちからは早速『凱旋門賞』という言葉が聞かれたようだが、その言葉を口にするのはまだ少し早い。まずは次のレースに向っていける体力を取り戻すことが先決な筈だろう。『凱旋門賞』云々は反動もなく、しっかりと調教を詰める状態になった時に初めて考えれば良いと私は思う。

今回、結果として勝ったから良かったが、万全の状態ではないのに出走に踏み切った池江師の決断には、やはり疑問が残った。3冠馬というものは、国内では常勝が義務付けられていると言ってもおかしくないだけに、こういった博打的な出走はやはり考え物だと思う。

池江師にはまず先の事を考えるよりも、ベストのオルフェーヴルの姿を取り戻すことに全力を尽くして欲しいと願いたい。


●素晴らしい状態だったルーラーシップ

2着に入ったルーラーシップだが、パドック及び返し馬とも非常に素晴らしい状態に映った。直前の調整過程が軽かったことで状態に疑問符がもたれていた同馬だが、あの姿を見る限り厩舎サイドの仕上げ方がベストだったということだろう。

前走の香港の時も、直前は飼葉を食べなかったせいなどで強めの調教が出来なかったルーラーシップ。それが蓋を開けてみればあの圧勝劇だったので、もしかしたら直前は強い調教をしない方が良いタイプなのかなと思っていたが・・・どうやらその推測は正しかったようだ。

今回は勝ちに行く競馬をして2着。オルフェーヴルが強すぎただけで、同馬もG1馬に相応しいパフォーマンスは見せた。今回は勝ち馬を褒めるしかないだろう。今後の巻き返しに期待したい。


●判断の良さが光った浜中騎手

3着のショウナンマイティも素晴らしい状態だった。レースではいつも通り後方から。直線は外に出さずに内を突いて鋭く伸びるなど、勝ちに行く姿勢を見せれたと思う。

4コーナーでいつも通り外を廻す競馬を選択していたら、恐らく3着はなかったと思われるだけに、今回は浜中騎手の判断の良さが光ったレースだった。上位2頭に捻じ伏せられる形にはなったが、健闘したといえるのではないだろうか。まだまだ成長の余地を残している同馬。今後の飛躍に期待したい。


●勝ちにいったウインバリアシオン

4着のウインバリアシオンも勝ちに行く競馬は見せた。いつもとは違い自分から動いて行く競馬をしたわけだが、陣営もああいう競馬を望んでいたことだろう。以前と同じ競馬をしていたら、乗り変わった意味がないわけだからね。

結果としてあと一歩伸び切れなかったわけだが、これはもう現状では力不足だったというしかない。ちょっと外に持ち出し過ぎたきらいはあるが、馬場の良いところを走らせようとしたわけだろうから、悪い騎乗ではなかった。

あとはこういう競馬を経験したことにより、今後どれだけ変わってくるか。ジャパンカップなどは同馬にとってピッタリの条件だけに、更なる成長を期待したいところだ。


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[ 2012/06/25 12:00 ] レース回顧 | TB(0) | CM(0)
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