生ける伝説へと昇華したフランケル




まさか競馬を観ていて、笑いが止まらなくなる経験をするとは思いませんでした。

だってね?今までマイル以上の距離を走ったことがない馬が、これほどの圧勝劇を見せるとは普通思わないでしょう。しかも世界各国から強豪が集まるG1の舞台で。。。

そんな笑いが止まらなくなるようなとんでもない事をやってのけたのが、ヨーク競馬場で行われたインターナショナルS(英G1)に出走したフランケル。

常日頃から怪物と呼ばれる彼が、この日のヨークで見せたとてつもないパフォーマンスは、間違いなく世界の競馬史に新たな歴史を記すことになる偉大なモノだったと思います。
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●フランケルの状態


今回のフランケルの状態ですが、私の目にはそれほど素晴らしい状態には映りませんでした。

最近はパドックでも闘志を前面に押し出すこと無く、淡々と周回することが多くなったのでそれほど見栄えのする馬じゃないのですが、この日は後肢の踏み込みがイマイチで、またお腹周りにも余裕があるように感じられました。

個人的にはマイル以上のレースに始めて出走させると言うことで、陣営が余裕を持たせた仕上げを施したのかなと思っていますが、それでも100%というには程遠い仕上がり。

これであれだけのパフォーマンスを見せるのですから、これはもう他馬とは競走馬としての器が違うとしか言い様がありませんね。


●消耗戦に持ち込もうとしたクールモア

今回、フランケルのライバル1番手と見なされたセントニコラスアビー要するクールモア陣営は、二頭のペースメーカーを出走させる手を取ってきました。ロビンフットとウインザーパレスです。

フランケル陣営もいつも通りペースメーカーとしてフランケルの兄であるブリットトレインを出走させてきましたが、今回ブリットトレインは逃げることが出来ず、3番手を追走する形となってしまいます。

逃げたのはロビンフット、2番手にウインザーパレス。かなりのハイペースで飛ばして行く二頭の意図は明らかでした。初めての10ハロン戦(正確には10ハロン88ヤードですが)ということでスタミナに不安のあるフランケルに、ハイペースによる消耗戦を挑んだのです。

今回クールモアのエース格として出走してきたセントニコラスアビーは、エプソム12ハロンで行われたコロネーションCや、ブリーダーズCターフを制しているようにクラシックディスタンスを主戦場にする馬。スタミナには相当な自信があります。

スピードや瞬発力といった面では、マイル路線で圧倒的なパフォーマンスを続けてきたフランケルに分が有りますが、スタミナ勝負ならばセントニコラスアビーの方が勝っている筈。

恐らくクールモア陣営はそう読んで、ペースメーカーを2頭も配するという手を使ってまで勝負を挑んできたと思うのですが・・・結果は皆さん知っての通り。フランケルはそういう小細工が通用するような相手ではありませんでした。


●結果として全く問題なかった距離延長

今回珍しく出遅れてしまったフランケル。競走馬というものは繊細なもので、普段と違う競馬を強いられるとストレスからか途端に走らなくなってしまう馬も多いので心配したのですが、道中の行きっぷりを見ているとそういった心配は無用だったですね。

3歳時はペースが遅いとガンガンに行きたがる面が目立っていたフランケルですが、古馬を迎えてからはそういった面も全く見せなくなり、どっしりとして精神面で本当に大人になりました。

古馬になってからの方が圧倒的なレースを続けている印象が有りますが、これは精神面の成長が大きく影響を与えていることは間違いないでしょう。レース中に無駄な力を使うことがなくなった結果、最後の直線で他馬を圧倒するパフォーマンスをコンスタントに発揮できるようになったのだと思います。

今回も道中で余分な動きはせずに、スムーズに折り合ってレースを進めていたフランケル。想像以上にハイペースだったのも影響したのは間違いないでしょうが、それにしてもスムーズに折り合いが付いていました。これなら大丈夫かなと思いながらレースを見ていたのですが、それが確信に変わったのは残り600m付近でした。

勝負どころを迎えて、セントニコラスアビーやファーといった有力馬たちが追い出します。後方にいたフランケルも大外に持ち出し追撃態勢に入るのですが、その時でも鞍上のトム・クウィリーの手は全く動きません。

懸命に手綱を扱き、ステッキを入れるライバル達。それを横目に見ながら馬なりのまま交わしていくフランケル。その姿には鳥肌が立ちましたね。ここまで力の差があるのか!?って。

手元にこの区間の公式ラップが有りますが、この1ハロンは11秒05というラップが記録されています。恐らくフランケル自身は10秒台半ばから後半のラップを叩き出している事でしょう。

もう圧巻と言うしかありません。スタミナ不安などどこかへ飛んでしまいました。そもそもこのペースでスタミナに不安がある馬が、この時計を計時することが出来るわけ有りませんしね(苦笑)

結果として2着のファーに7馬身の大差を付けてゴール板を通過したフランケル。抜け出してから鞍上のトム・クウィリー
騎手はビジョンで後続との差を確認し流していたので、実際にはそれ以上の力差があることは間違いないでしょう。

初めての10ハロン戦でこれだけのパフォーマンスを見せ付けるとは・・・まさに怪物。正真正銘、生ける伝説と呼ぶに相応しい、世界競馬史でも1・2を争う名馬だと思います。このような名馬をライブで目撃することが出来るとは・・・まさに幸運というしかありません。


●次走がラストラン。果たして凱旋門賞参戦はあるのか?

この距離でこれだけのパフォーマンスを発揮されると、俄然注目を集めるのが次走はどのレースになるのかということ。従来の予定では10月に行われる英チャンピオンSの予定でしたが、ここに来て凱旋門賞とブリーダーズCという2つの選択肢が浮上してきたようです。

今のところはあくまでも英チャンピオンSが本線のようですが、もしかしたら凱旋門賞参戦も有りうるのではないかと言われています。まあ、あれだけのパフォーマンスを見せられたら、当然凱旋門賞も・・・と期待されるのは当然ですよね。ヨークの10ハロン88ヤードをこなせたのですから、ロンシャンの12ハロンは問題なくこなせるはずですし。

個人的にはリスク等を考えると、結局英チャンピオンS参戦に落ち着くのかなと思っています。フランケルはここまでイギリス国内でしか走ったことがなく、ラストランで初の国外遠征というリスクを侵す必要があるのかという気もします。

勿論個人的にはロンシャンでオルフェーヴルと戦う姿を見てみたいですが、ここまでの馬になってしまうと『もう伝説の名馬のままターフを去って欲しい』という気持ちも芽生えてきて(笑)昨今は無敗のままターフを去るという超一流馬は殆ど存在しなくなりましたしね。

いずれにしても、次走でいよいよラストランを迎えることになる怪物フランケル。どのレースに出走することになっても、世界中の競馬ファンからとてつもない注目を集めることは間違いないでしょう。

そんな彼に願うことは唯一つ、元気な姿でターフを去って欲しいということ。最後の瞬間まで、フランケルが怪我なく元気に過ごすことを心から願いたいと思います。
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[ 2012/08/24 09:30 ] 海外競馬 | TB(0) | CM(-)
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