ネコパンチを重賞初制覇に導いた、ベテラン騎手の熟練の業 ~第60回日経賞(G2)レース回顧~


2012日経賞


■レース展開■

全馬揃ったまずまずのスタート。
好スタートをきったケイアイドウソジンが行く構えをみせるが、内からネコパンチが一歩も引かぬ構え。
結局強引にハナを主張したネコパンチが、1周目3~4コーナー中間点で先頭に立った。

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1周目スタンド前、先頭のネコパンチは後続をグングン突き放し大逃げの構え。
離れた2番手にはケイアイドウソジンが追走し、その内にはサンテミリオン。
ネヴァブションは内ラチ沿い5番手を進み、その外には中山巧者フェイトフルウォー。さらに外にはヤングアットハートが進む。
中団にはマイネルキッツ、ルーラーシップ、コスモロビン、トーセンラーと有力どころが控え、最後方からは武豊に乗り代わったウインバリアシオンが進む展開となった。

先頭のネコパンチがグングン飛ばす。
前半900mまでの時計が55秒フラット。1ハロン推定12秒フラットと、馬場を考えればかなり速い逃げを打つ。1コーナーに差し掛かった辺りで、2番手以下に15馬身程度の差を付けていたが、ネコパンチが刻んだラップを考えれば当然の差だろう。
向 こう正面に入りさすがにペースを落とすネコパンチ。当然だろう、このペースのまま逃げ切れる訳が無い。しかしこのペースの落とし方が実に絶妙だった。普通 の騎手ならば、ここでハロン13秒後半から14秒近くまでペースを落としてしまい、せっかく付けた後続との差を台無しにしてしまう。しかし流石はベテラン 江田照男。ここで彼は12秒9から13秒1のラップを刻み続け、馬にはしっかりと息を入れさせつつ、後続との差はキープする逃げを打つ。これは豊富な経験 が無ければ打てない逃げ。さすがベテランと唸らせる名騎乗だった。

勝負どころの3コーナー。先頭を行くネコパンチは、もう一度ペースを上げていく。
後続馬も『これはヤバイ!』と追撃を始めるが、馬場も荒れており中々前との差が詰まらない。
人気のルーラーシップもポジションを上げていくが、その動きはどこかモッサリとしたもの。当たりの柔らかい福永では、大型馬で反応の鈍いところが有る同馬に、気持ちを乗せられないのかも知れない。

4コーナー。
ネコパンチは舌をベロベロと出しながら、気持ち良く先頭を駆けていく。
後続馬群は既に全馬必死に追い出している状態。しかしその差は余り詰まらないまま、レースは最後の直線に舞台を移す。

懸命に逃げるネコパンチ。
荒れてしまった内側の馬場でも、唯一キレイな内ラチ沿いのグリーンベルトの上を走らせる江田。これがベテランの味か。最後の最後まで抜け目の無い騎乗でゴールを目指す。
ルーラーシップは直線入り口で2番手に浮上。しかし先頭を行くネコパンチを捕らえられる脚色ではなく、それどころか後ろからはウインバリアシオンが同馬を上回る脚色で迫ってくる。

熾烈な2番手争いを尻目に、悠々とゴール板を駆け抜けたのは超伏兵ネコパンチ。
先週の阪神大賞典に引き続き、改めて競馬に絶対は無いと示すことになった大金星。
久々に騎手の妙を体感させる、実に興味深いレースとなった。


■各馬短評■

1着 ネコパンチ(江田照男騎乗、星野忍厩舎)
ま さに大金星。過去に同レースではテンジンショウグンでも大穴を開けているベテラン・江田照男が、またもやってくれたというのが正直な感想だ。馬も勿論頑 張ったのだが、最大の勝因は鞍上の手綱捌きだろう。ベテランらしい絶妙なペース配分には唸らされた。一昨年のエリザベス女王杯における、熊沢騎手の逃げを 思い起こさせる名騎乗。これだからベテランは怖い。若手騎手にはこういったベテランのしたたかさを学んで欲しい。そう改めて思わせるレースだった。

2着 ウインバリアシオン(武豊騎乗、松永昌博厩舎)
い つものように後ろから。この手の脚質の馬に乗ると、きっちりと能力を発揮させるのが武豊。おそらくターゲットはルーラーシップだったろう。しっかりとルー ラシップを差して見せた・・・が、その前に更にネコパンチがいるとは、流石に武豊といえども想像していなかったのでは?最後方からの競馬で、大逃げを打っ ているネコパンチは視界に映っていなかったであろう。名手・武豊をも幻惑させるネコパンチの逃げであった。

3着 ルーラーシップ(福永祐一騎乗、角居勝彦厩舎)
ネ コパンチを捕まえるどころか、ウインバリアシオンに差されて3着に・・・。道悪の影響も考えられるが、どこかもっさりとした動きだった印象。500キロを 超える大型馬であり、当たりの柔らかい福永よりも、当たりが強く気持ちを乗せられる岩田辺りの騎手の方が合っているのではないだろうか。まあG1では結果 を残せていない馬が、人気し過ぎた感も無きにしも非ずではあるが・・・。

4着 コスモロビン(柴田大知騎乗、清水英克厩舎)
中団からジリジリと脚を伸ばし4着。格上げ緒戦で重賞と厳しい戦いだったが、中々の結果を残せたのではないだろうか。鞍上もソツなく乗った印象。今後もこのくらいの距離で活躍できると思われる。

8着 フェイトフルウォー(柴田善臣騎乗、伊藤伸一厩舎)
好位から競馬を進めたが、特に見せ場無く8着と惨敗。鞍上は道悪に敗因を求めたが、元々一線級相手では少し辛いのかも・・・。現状ではG3辺りで力を付けていくのが妥当と思われる。

9着 マイネルキッツ(松岡正海騎乗、国枝栄厩舎)
内の馬場が悪い部分を終始通る形となり、脚を無くして9着。流石に全盛期の出来にはなく、これでは厳しかったか。本番の天皇賞に向けて、ここからどれだけ上昇させられるかが好走の鍵を握ることになる。

10着 トーセンラー(内田博幸騎乗、藤原英昭厩舎)
薄い馬体で切れ味身上の同馬。さすがにこの馬場では厳しすぎた印象だ。府中や淀の良馬場こそがベストの舞台。今後人気を落としていようとも、これらの舞台で行われるレースに出てきたら必ず買いたい。


■総括・感想■

ベテランの怖さをまざまざと見せ付けられるレースとなった。
ああいった思い切った騎乗は、大手馬主の意向に束縛され、自由に乗れなくなった若手・中堅騎手では出来ない。まさにある意味達観したベテランだから出来る騎乗であったと思う。

人によっては『まれに見る糞レース』という人もいるだろう。
しかしその意見には賛成できない。
先に解説したように、このレースでは江田照男騎手の熟練の業が冴え渡っていた。
他の騎手はその術中に嵌っただけ。ここは江田騎手を褒めるのが正しい。
筆者は江田騎手の熟練の業が光った名レースだったと言いたい。

条件馬時代から、その可愛らしい馬名で人気者だったネコパンチ。
ようやく待望の重賞ウィナーとなった同馬だが、次はいよいよG1の舞台に登場だろうか?

気になる次走は、恐らく春の天皇賞。
淀の舞台でもネコまっしぐら(笑)と行くのか?
そして江田騎手の『にゃ~♪』は再度見られるのか!?(爆)

その走りに注目したい。


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[ 2012/03/27 10:00 ] レース回顧 | TB(0) | CM(2)
お疲れ様です。

ああいう騎乗は見ていてスカッとしますね。
負けたけれど納得、という感じでした。
[ 2012/03/27 14:46 ] [ 編集 ]
セイショウさん
お疲れ様です。

たまにああいう騎手が勝たせたレースを見るとスカッとしますね。
別にスローな競馬が悪い訳ではないんですが、もっと騎手の個性が出たレースを見てみたいなと思います。
[ 2012/03/31 17:36 ] [ 編集 ]
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