ジェンティルドンナは悔しい2着・・・。彼女に何が足りなかったのかを考えると共に、ドバイシーマクラシックを振り返ってみた




 最後に日本のファンにとって最大の注目レースとなった『ドバイシーマクラシック(首GⅠ)』。

 ここには日本からジェンティルドンナとトレイルブレイザーという2頭の日本馬が出走していた訳ですが、特に日本のファンの期待を浴びていたのが3冠牝馬のジェンティルドンナ。

 日本の報道が過熱気味だったのはある意味当然として、現地でも大きな注目を浴びており、レース前は半ば『勝って当然』みたいな危険な雰囲気となっていましたが・・・。

 終わってみれば『やっぱり・・・』と思ってしまう様な結果となってしまいましたね。


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■勝ち馬に捻じ伏せられたジェンティルドンナ

 日本の競馬ファンの期待を一身に背負い出走したジェンティルドンナは、直線脚を伸ばすもののセントニコラスアビーには及ばず2着。

 レースを振り返りながら書いて行きますが、まずスタートはマズマズの出だったジェンティルドンナ。

 レース後に岩田騎手は『いつもと違うゲートに戸惑い出負けしてしまった』とコメントしていましたが、これは隣のトレイルブレイザーのスタートが良すぎた為にそう見えただけで、全体的見ればジェンティルドンナは良いスタートを切った部類に入っていましたね。

 道中は好位外目の3番手にポジションをとったジェンティルドンナ。前に馬を置くことが出来ずにちょっと行きたがっていましたが、それでも折り合いを大きく欠くほどのモノではありませんでした。

 この折り合いを欠いた事を主な敗因とする論調が有るようですが・・・。確かに全く影響が無かったという事はないでしょう。ただもし折り合いがバッチリ付いていたとしても、勝てたかというと正直微妙なところです。良いとこ2馬身半ほど付いた着差が、1馬身ほどに詰まる程度だったのではないでしょうか。

 話を戻しまして、勝負どころの最終コーナー。ジェンティルドンナの斜め前にいるのは、このレース最大のライバルであった欧州の強豪セントニコラスアビー。

 抜群の手応えで馬なりのまま最終コーナーを回っていくセントニコラスアビーに対して、この時点でジェンティルドンナ騎乗の岩田騎手の手が動き始めます。

 直線でも岩田騎手の大きなアクションに合わせて、必死に脚を伸ばすジェンティルドンナ。しかしセントニコラスアビーも抜群の伸びを見せ、その差は中々縮まりません。

 結局は残り100m辺りで力尽きてしまったジェンティルドンナ。

 最後は勝ったセントニコラスアビーに2馬身半ほどの差を付けられて2着でフィニッシュした訳ですが、この結果に関しては『やはり馬場の適性が最後にモノを言ったのかな?』という感想を持ちましたね。


■2頭の明暗を分けた馬場適性・走り方の違い

 この2頭が日本の競馬場で再戦したら、恐らく5回に4回はジェンティルドンナが勝つでしょう。もしセントニコラスアビーがJCに参戦したら、掲示板は充分望めるくらいのスピードは持っていると思いますが、それでもジェンティルドンナとは差が有る筈。

 しかし何よりもスピードが要求される日本の馬場とは違い、海外はある程度のスピードと共にスタミナとパワーも要求されます。それは比較的日本の馬場に近いコンディションであるメイダンの芝コースでも例外ではありません。

 ジェンティルドンナとセントニコラスアビーの走っているフォームを見比べてもらえば分かると思いますが、前肢と後肢、要は身体全体を上手に使って走るセントニコラスアビーに比べて、ジェンティルドンナはより後肢に比重を掛けた走り方をします。

 この走り方は日本のように路盤がしっかりとしていて、後肢の生み出すキック力を受け止めてくれる硬めの馬場だと効力を最大限に発揮しますが、海外のように路盤が軟弱でキック力が幾分逃げてしまう様な馬場だと、前に進む推進力が弱くなってしまうのです。

 こういう時にそれを補う役目をするのが前脚で、後肢ほどではありませんが前脚も前に進む推進力を生み出します。

 ところが後ろに比重を掛けた走り方をするジェンティルドンナは、前脚でしっかりと馬場を捉えた走り方をするセントニコラスアビーに比べて、前脚が生み出す推進力が明らかに小さい・・・。

 これが最後の直線で思うように差を詰められなかった最大の要因でしょう。能力の絶対値そのものは高かった為に、3着以下にはロスの生じる走り方でも差を付けられましたが、競馬の本場欧州でGⅠ4勝を誇る強豪には通じなかった・・・。

 しかもスピードではジェンティルドンナに劣るセントニコラスアビーですが、スタミナとパワーは明らかに彼女より上ですからね。

 今回は今までジェンティルドンナが経験してきたどのレースよりも、総合力を求められる競馬になってしまいましたし、この結果も致し方ないのではないでしょうか。


■今年も日本馬の壁として君臨

 ここで勝ったセントニコラスアビーを紹介しておきましょう。セントニコラスアビーは父モンジュー、母Leaping Water、母の父Sure Bladeという血統(詳しくはこちら)のアイルランド産の6歳牡馬。

 2009年8月にカラ競馬場のメイドンでデビュー勝ち。2歳時は無傷の3連勝を飾り、この年欧州を席巻したあのシーザスターズに匹敵する存在と騒がれるも、翌年シーズン初戦となった英2000ギニーで6着と敗れると、体調を崩し長期休養へ。

 翌年復帰したセントニコラスアビーは、復帰初戦の準重賞で3着と敗れ『あれれ?』と思わせるも、続くオーモンドS(英GⅢ)・コロネーションC(英GⅠ)と重賞を連勝。シーズン末にはアメリカでBCターフ(米GⅠ)も制すなど、古馬になってからようやく周囲の期待に応える存在へと成長しました。

 そして今回、ドバイシーマクラシックを制しGⅠ5勝目としたセントニコラスアビー。かのフランケルやナサニエル、デインドリームなどが引退した現在、同厩のキャメロットと共に同馬が欧州中長距離路線のトップホースと呼べる存在なのは間違いないでしょう。

 今年も日本馬が何頭か欧州遠征を予定していますが、これからも日本馬の壁として同馬が立ちはだかることは間違い無さそうですね。その時は遠征した馬が今回の借りを返してくれる事を期待したいと思います。


■全く見せ場無く大敗・・・

 そしてもう1頭、日本から参戦したトレイルブレイザーは11着と大敗・・・。

 抜群のスタートを切って飛び出した時は『行くのかな!?』と思いましたが、無理に行くことはせずにそのまま控えましたね。

 ただポジション的には勝ち馬の直後、好位の4~5番手辺りを追走。レース結果から考えても申し分の無い位置に付けれたと思ったのですが・・・どうしちゃったのでしょう?ペースが上がると徐々に遅れ始め、最終コーナーでは完全に付いて行けなくなってしまいました。

 日本での実績、そして昨秋のアメリカ遠征の結果から考えるとここまで負ける馬じゃないだけに、やっぱり体調に問題があったんですかね?昨年末の有馬記念の時に『明らかに遠征疲れが出ているな・・・』と思ったんですが、その時の疲れが取り切れていないのかも。

 また鼻出血を発症した前科を持つ馬ですから、もしかしたらその辺も影響しているのかも知れませんね。アメリカ遠征では呼吸を楽にするラシックスという薬をレースで使えましたが、日本やドバイでは使えませんので。

 いずれにしても帰国したら、一旦立て直した方がよさそうですね。ここまでリズムを崩していると、続戦しても良いことは無いでしょう。

 幸いにして(と言って良いのか分かりませんが)、先日今年のブリーダーズカップでもラシックスの使用が認められることが、主催者のブリーダーズカップ協会から発表されました。

ブリーダーズカップ、2013年もサリックス(ラシックス)使用を禁止せず / ジャパン・スタッドブック・インターナショナル

 去年の段階では今年のブリーダーズカップではラシックスは禁止されると聞いていただけに、トレイルブレイザーにとっては厳しいなと思っていたのですが、これならば今年も使えますね。

 鼻出血を一度発症した以上、どうしても再発の不安は付いて回るものですし、今年も秋の最大目標はBCに置いたら良いんじゃないかと思います。
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[ 2013/03/31 09:00 ] 海外競馬 | TB(0) | CM(-)
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