その年のクラシックの有力候補が数多く参戦し、クラシックの登竜門と呼ばれてきた共同通信杯。
今年は近年稀に見る大雪の影響で1週順延し、しかも平日月曜日に行われるという形になってしまいましたが、それでもクラシック本番を目指す3歳馬14頭が参戦。
皐月賞、そしてダービーを見据えた争いが展開されました。
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■1着イスラボニータ1、状態 今季初戦でしたが、出来は良かったですね。全体的に緩さも感じさせず、歩様も後肢を最後までグッと伸ばして、実に力強いものでした。
あの最後グイッと踏み込むところが、競馬へ行っての強靭な末脚の源泉となっているのでしょう。
本番へのステップとしては、言うことない状態だったと思います。
2、レース 好スタートを切ったイスラボニータでしたが、かなりのスローペースになったこともあり、レース前半はかなり行きたがっていましたね。
ただそこで鞍上の意思に必要以上に反発せず、我慢できるのが同馬の競馬センスの高さを証明しているといえます。
鞍上の指示に反発することなく、自分のリズムを掴んでからは実にリラックスした走りで追走していたイスラボニータ。
無駄な力を使うことがなかったから、いざ追い出されてからも俊敏に反応出来ましたし、ゴールまで末脚が持続し続けたのでしょう。実に強い競馬だったと思います。
3、今後 これで通算成績を5戦4勝2着1回としたイスラボニータ。ほぼパーフェクトといえる内容で、文句なしに牡馬クラシック戦線の中心馬と言えますね。
ただ気になるのは今まで東京コースばかりを走っており、皐月賞の行われる中山コースは一度も走っていないこと。
レース後、陣営からはこのまま皐月賞に直行すると発表されましたが、今まで走ってきた東京や新潟とは求められる適性が全然異なる中山を、一度も経験せずに本番を迎えて本来の力を発揮できるかは正直未知数です。
しかも同馬の最大の武器は、非常に大きなストライドから生み出される強靭な末脚ですが、コーナーがタイトな中山コースはストライドが大きな馬だとコーナーで上手く加速出来ず、置かれてしまう可能性が高くなります。
ただでさえ皐月賞は前哨戦とは一変し、激流になることが非常に多いレースですからね。上手く流れに乗り切れず馬群でもがく可能性は充分あるといえるでしょう。
個人的には皐月賞は軽視し、その次に向かうであろうNHKマイルCかダービーで見直したいところですが・・・。
さてどのような結果になるでしょうか。
■2着ベルキャニオン1、状態 出来は非常に良かったですね。テンションはちょっと高めでしたが毛ヅヤはピカピカで、脚捌きも非常に素軽いものがありました。
馬体の造りはあまり似てないのですが、全兄カミノタサハラの弥生賞時の雰囲気にそっくりでしたね。正直この時点で勝ち負けは確信しました。
2、レース 道中は中団からの競馬となったベルキャニオン。スローな流れに何度か行きたがっていましたが、こちらも良く我慢出来ていました。
直線では勝ったイスラボニータとほぼ同じタイミングで追い出したベルキャニオン。
追われてからの加速力では同馬の方が勝っており、一瞬並び掛けるところまで行きましたが、そこから勝ち馬に引き離されてしまいましたね。
ここがイスラボニータとベルキャニオンの適性の違いでしょう。ベルキャニオンは全体的に若干硬いところがあり、イスラボニータと比べて明らかに完歩が狭いです。
完歩が狭い分ピッチは速くなりますので、トップスピードに達する加速力という点では、ベルキャニオンはイスラボニータを上回るモノを見せることが出来ます。
しかしピッチ数が多くなるという事は、それだけ数多く脚を回転させることに繋がるので逆に疲労し易くなる=脚が長続きしないということになるんですね。
東京のような直線の長いコースだと、こういったピッチの多いタイプの馬は不利です。どうしても脚の使いどころが難しくなりますから。
逆に中山のようなコーナーがキツくて直線も短めなコースだと、瞬時に加速できるベルキャニオンのようなピッチ型の馬は適性抜群であり、能力を存分に発揮することが出来るでしょう。
今回イスラボニータとベルキャニオンの間には1馬身1/4の差が付いた訳ですが、この着差がそのまま能力差ではなく、その多くは適性の差によるものではないかと思っています。
3、今後 今回共同通信杯ではイスラボニータに完敗したベルキャニオンですが、中山競馬場で行われる本番皐月賞では、その適性の差で充分逆転する可能性があると思っています。
ただ今回かなり良い状態でレースに臨んでいたので、皐月賞までのその状態をキープするか、更に上向かせることが好走の絶対条件となるでしょう。
思えば全兄のカミノタサハラも弥生賞では素晴らしい状態で出走してきましたが、皐月賞ではその反動かピークを過ぎた状態での出走となってしまいました。(それでも4着だったのは能力の証明)
弟も兄の失敗を踏襲してしまう可能性があるだけに、ここは管理する堀宣行厩舎の手腕に期待したいと思います。
▼レース回顧後編『器の大きさは証明したサトノアラジン』に続く▼
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