競走馬は一度スランプに陥ると、本来の姿を取り戻すことに苦労することが往々にしてある。
中には本来の姿を取り戻すことが出来ないまま、フェードアウトしていく競走馬も少なくない。
昨年宝塚記念は制したものの、その後の秋のレースでは、競馬ファンの期待を大きく裏切るレースを続けてしまっていたゴールドシップ。
その競走馬生活の中で最大のスランプに陥り、陣営を含め本来の姿を見失ってしまっていた同馬。
一冬を越えて、果たしてゴールドシップは本来の姿を取り戻すことが出来たのか?
多くの競馬ファンが注目した阪神大賞典が昨日、阪神競馬場芝3000mを舞台に行われた。
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■本来の姿を取り戻しつつあるゴールドシップ プラス10キロの馬体重で登場したゴールドシップ。
馬体重が示すとおり若干の緩さは残していたが、これは前哨戦でもあり許容範囲内。
落ちていた筋肉も戻っていたし、気合の乗りも昨年秋より良くなっていた。
追い切りの動きが今までに無いぐらい軽快だったので、復調気配なのかな?とは感じていたが・・・。
有馬記念後にしっかり休ませたことで、本来の姿を取り戻してきたのは間違いないと思う。
ベストを100とすれば、今回は90ぐらいの出来だったのではないだろうか。
■岩田騎手のファインプレー 大飛びなのでスタートダッシュはそれほど利かないゴールドシップ。
ただゲート出自体はひと頃に比べればだいぶ良くなって来たし、反応も良くなってスタート後のリカバリーは充分利くようになってきた。
今回も好位からの競馬を選択したゴールドシップ。
逃げたバンデがスローな流れを演出したこともあり、スタンド前辺りまでちょっと掛かり気味だったが、岩田騎手が手綱を少し上下に揺さぶりハミで遊ぶようにすると、馬がハミを外して折り合えた。
これは岩田騎手のファインプレーだろう。掛かる馬に対して単純に手綱を引くだけだと、反発する馬なら逆に意地になり逆に折り合いを欠いてしまう。
ここでハミで遊ぶことを促すことにより、反発する馬の気を散らしてリラックスさせ、そして折り合わせるとは・・・これには正直感心した。
ここから勝負どころまでしっかりと脚を溜められたのは、ゴールドシップにとってかなりプラスになったはずだ。
今回同馬は上がり34秒5の脚を使っているが、今まで3000m超のレースでこれほど速い上がりを使ったことは無い。
スローな流れからの上がり勝負でも、長距離戦ならしっかりと対応できることを示したのは大きいと思う。
最後は流す余裕も見せながらも、2着のアドマイヤラクティに3馬身半差を付けたゴールドシップ。
まさに力が違うというしかないレース内容だった。
■鍵を握るのは当日の馬場状態 これで大威張りで春の天皇賞へと向かうことになったゴールドシップ。
当然のことながら距離には全く不安は無いので、問題は当日の京都の馬場状態だけだろう。
去年のようにパンパンの良馬場で、とにかくスピードが求められる馬場状態になると、素軽さに欠けるゴールドシップにとってはどうしても苦しくなる。
高速馬場に適性が無いことは、3歳時のダービーや去年の春の天皇賞。そして昨秋の一連のレースで証明済みだからだ。
ただ当日雨など降って時計の掛かる馬場になるようなら、現役屈指のスタミナとパワーを誇る同馬は、一転して大本命と断言して良い存在へと変化することだろう。
ゴールドシップの本番での好走の鍵を握るのは、一にも二にも本番当日の馬場状態。
そう言い切ってしまっても良いのではないだろうか。
■本番でゴールドシップの手綱を握るのは誰? あと今のところ本番で騎乗する騎手が確定していないのも、ちょっと気になるところではある。
今回手綱をとった岩田騎手は、現時点では本番でウインバリアシオンに騎乗する予定。
そのウインバリアシオンは今週の日経賞に登場する予定だが、ここで良いレースをするとそのまま天皇賞でもコンビ続行ということになるだろう。
そうなるとゴールドシップの鞍上が空席になるわけだが・・・。同馬も騎手を選ぶタイプだけに、一流騎手なら誰でも良いということにはならない。
ベストは岩田騎手とのコンビ続行だろうし、当の岩田騎手も内心では春の天皇賞での騎乗を望んでいそうだが・・・さてどうなるだろうか?
そういった意味でも今週の日経賞には注目したい。
▼レース回顧後編『一部で物議を醸しているバンデと松田騎手』に続く▼
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