レッドクラウディアが南関東に移籍してから、もう半年になろうとしている。
JRAのダートレースの番組は牝馬には冷たい。元々条件戦でも牝馬限定のレースは少ないし、これがオープンクラス以上となったら皆無だ。
ダートは芝以上に牝馬と牡馬との格差が現れる為、牝馬がJRAのオープン特別以上で勝ち負けになることなど本当に稀。それこそ牝馬最強クラスではないと、牡馬相手には互角にはやりあえない。
そうすると必然的に活路は地方で行われる牝馬限定のダートグレードレースに求められることになるが、毎回出走申し込み馬は殺到し、無事に出走することすら困難。
このような使いたくても使えない状況を鑑みて、昨今は余力を残している内に地方競馬へと転厩する馬が増えてきている。
今回取り上げるレッドクラウディアもそういった事情で移籍した1頭。
地方に活路を求めて移籍したものの、ここまで思いの外苦戦し続けてきたレッドクラウディア。今回の勝利は彼女にとって、復活の狼煙となるのであろうか。
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■気性的に大きく成長したレッドクラウディア
ショコラヴェリーヌの逃げで幕を開けたしらさぎ賞。
レッドクラウディアはスタートはまずまずだったが、58キロの斤量が影響しダッシュが利かずに5番手からの競馬。
JRA時代は砂を被ると嫌がる面があり、今回は不良馬場の内ラチ沿いのポジションでどうなることかと思ったが・・・。
道中は全く嫌がるそぶりを見せておらず、気性的に大きく成長した姿を見せていたと思う。
小回りコースが多い地方競馬の中でも、浦和コースは特に小さいコースとして有名で、先行馬有利な競馬場である。
しかもこの日は折からの大雨で、水が浮くような不良馬場。
こういった馬場状態の時はとにかく逃げ馬が残る競馬が多く、先手を取ったショコラヴェリーヌにとっては言うことのないレース展開であっただろう。
快調に飛ばすショコラヴェリーヌ、内ラチ沿いから追い上げるレッドクラウディア。その差は中々詰まらず、直線の入り口で2頭の差は3馬身ほど。
浦和の直線は短い。しかもショコラヴェリーヌには余力が残っている。
レッドクラウディアにとっては万事休すかと思われたが、そこからJRA時代には見せなかったような差し脚で、前を行くショコラヴェリーヌを捕らえに掛かる。
2馬身、1馬身、半馬身。着実に差を詰めていくレッドクラウディア。彼女は力強く、乱れのないフットワークで遂にショコラヴェリーヌを捕らえる。
そして更に1馬身ほど前に出たその時、彼女はゴール板を通過していた。
■復活ではなく進化
2012年12月のクイーン賞以来、およそ1年半ぶりに勝利を挙げたレッドクラウディア。
地方へ移籍した当初はもっと早く結果を出すと思われていただけに、ここまで時間が掛かったのはある意味意外ではあったが、それだけにこの勝利は陣営にとっても嬉しいものであったろう。
この勝利で「レッドクラウディアが復活した」という声が上がっているが、私はそうは思わない。
「復活」とは以前の姿に戻ることを言う。しかしレッドクラウディアは以前の姿に戻るどころか、その時よりも成長した姿を見せていた。これは「復活」ではなく「進化」ではないだろうか。
JRA時代は、自身の中に強さと脆さを同居させていたレッドクラウディア。
しかし地方移籍とそれに伴う苦闘を経たことにより、彼女の中にあった脆さは何時しか消え、代わりに砂や泥を被っても怯まない、重い斤量を背負わされても屈しない、心の強さを身に付けた。
大きく増えた馬体重と共に、精神面でも大きくなった彼女の全盛期は、まさに今からやってくることを確信している。
次走は7月のスパーキングレディーカップを予定しているレッドクラウディア。
レース当日。古巣から遠征してくる強豪たちを、大きくなった彼女が迎え撃つ姿を楽しみにしている。
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