明暗を分けたのは勇気の違い。ビートブラックが4冠馬の夢を打ち砕く  ~第145回天皇賞(GⅠ)レース回顧~


2012天皇賞(春)2

【UMAJIN】単勝万馬券! ビートブラックが4冠馬を破る大金星
http://www.uma-jin.net/news/news2012042909.html
 29日、京都競馬場で行われた第145回天皇賞・春(GI、芝3200m)は、単勝159.6倍の14番人気ビートブラック(牡5、栗東・中村)が3コーナーの下り坂で先頭に立つと、そのまま後続の追撃を凌ぎきって先頭でゴールした。勝ちタイムの3分13秒8(良)はレコードにコンマ4秒迫る好時計、鞍上は石橋脩騎手。

 各馬揃ったスタート。最内枠からビートブラックがハナを奪う構えを見せるも、押して押してゴールデンハインド(牡6、美浦・大竹)が先頭へ立ちペースを握る。ビートブラックは2番手に控え、その後ろを古豪ナムラクレセント(牡7、栗東・福島)が追走。トーセンジョーダン(牡6、栗東・池江)は先行集団のうしろあたり、2番人気のウインバリアシオン(牡4、栗東・松永昌)は中団に位置し、注目のオルフェーヴル(牡4、栗東・池江)は後方から数えて2番手でレースを進めた。

 2馬身間隔で前の3騎が淡々と進み、ゴールデンハインドの作ったペースは1000m通過が60秒ちょうど。4番手以降は大きく離れ、向正面から3コーナーに差し掛かるころには30馬身以上にも広がり、縦長の隊列で2度目の坂越えを迎えた。

 早くも手が動くゴールデンハインドを、ビートブラックが軽々とかわし先頭へ。後続各馬も追い出しを始めるが、前半に与えたリードをなかなか詰めることができない。さらに馬群の後ろで折り合っていたかのように見えたオルフェーヴルだったが、鞍上・池添騎手が懸命に手綱を扱くも、馬群についていくのが精一杯。淀のターフが悲鳴で包まれる中、各馬は直線へ向いた。

 石橋脩騎手のステッキに応えるように、ビートブラックの脚色は衰えない。トーセンジョーダン、ギュスターヴクライ(牡4、栗東・荒川)、ウインバリアシオンらもじわじわと脚を伸ばすが、万事休す。巧みなペース配分で他馬を翻弄したビートブラックが、伝統の長距離GIで大金星を挙げた。勝ち馬から4馬身差の2着にはトーセンジョーダンが入線し、さらに2馬身差の3着はウインバリアシオン。4冠馬オルフェーヴルはヒルノダムール(牡5、栗東・昆)と同着の11着に敗れている。

 石橋脩騎手は勝利ジョッキーインタビューで
 「信じられません。京都の開催は高速決着が続いていたので、残り1000mから行こうと思っていました。状態がすごく良く、仕上げてくれた皆さんのおかげです。(自身のGI初勝利について)まだ実感は沸かないですが、本当に嬉しいです。引き続き乗れるとしたら、この馬の助けになれるよう頑張りたいので、応援よろしくお願いします」と喜びの声を残している。

 配当は単勝15,960円、馬連61,570円、馬単208,630円、3連複97,140円、3連単1,452,520円。勝ったビートブラックは父ミスキャスト、母アラームコール(母父ブライアンズタイム)という血統。この勝利が人馬ともにGI初制覇となった。


『競馬に絶対は無い』
何度も使い古されたこのセリフを、また身に沁みて思い知らされることになるとは・・・。
競馬とは本当に怖いものですね。

圧倒的な支持を受けていた4冠馬オルフェーヴル。
その彼が喫した思いがけぬ大惨敗。
果たして彼の身には何が起こったのでしょうか?
そしてその敗因は、いったい何処にあったのでしょうか。
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■各馬短評■

1着 ビートブラック
勝因は何と言っても、鞍上・石橋脩の強気な騎乗に尽きるでしょう。
1000m通過が60秒フラット。2000m通過が2分1秒9と、馬場が良かったにしても3200mの長丁場にしては速い流れとなった今回。その緩まない流れの中、残り1000mで強気にラストスパートを開始した勝負度胸はお見事。普通の騎手ならば、あと1~2ハロンは我慢していたと思われるだけに、この思い切りの良さは賞賛されても良いと思います。あそこで仕掛けて消耗戦に持ち込んだ結果、直線で後続各馬の追い込みを封じるに足るリードを作ることが出来ました。あそこでスパートせず後続を引き付けていたら、切れる脚が使えないビートブラックは、まず末脚勝負で屈していたでしょう。切れには欠けるものの、豊富なスタミナを持つビートブラック。その特性を最大限に生かした、素晴らしい騎乗だったと思います。

2着 トーセンジョーダン
道中は後続集団の前の位置取り。3コーナーで早めに仕掛けて行きましたが、その時点で前2頭との差が付き過ぎており、上がり34秒の脚を駆使しても届きませんでした。敗因としては前で競り合っていた2頭を、後続各馬の騎手たちが軽視したこと。そして後方に位置取っているオルフェーヴルを気にし過ぎて、もう少し前のポジションを取ることが出来なかったこと。この2つが敗因として挙げられると思います。個人的にはユニバーサルバンクの位置に同馬が付けていれば、何とかなった気もしますが・・・。落鉄していたという話もありますが、個人的には展開の罠に嵌ってしまったという感想を持ちました。

3着 ウインバリアシオン
いつものようにこの馬も後方から。同馬も展開の罠に嵌ってしまった一頭で、後ろのオルフェーヴルの動向を気にするあまり、動くに動けない状況に置かれてしまいました。人気薄の2頭が飛ばしていることは鞍上も分かっていたでしょうが、人気薄だけに勝手に垂れてくると思った節も・・・。たしかにゴールデンハインドはバテて垂れてきましたが、ビートブラックは一杯に粘りきってしまいます。勝ち馬の力量を読み違えていたことも、波乱を演出した一つの要因ではないでしょうか。

4着 ジャガーメイル
同馬もウインバリアシオンと同じような位置からの競馬。そこから同じような競馬を仕掛けるも、末脚に勝るウインバリアシオンに最後は交わされて4着に終わってしまいました。一つ解せないのは、同馬の位置取りでしょう。好位から競馬出来る同馬が、なぜあんなに後ろから競馬したのでしょうか?オルフェーヴルと同じような位置から競馬をしても、末脚勝負で勝てるとは思えなかったのですが。ウインバリアシオンは後ろからの競馬で結果を出してきただけに、まだあの選択も分かります。しかし同馬が天皇賞を勝った時は、もっと積極的な競馬をしていたように思うのですが・・・。勝つ意欲に乏しい、消極的な騎乗を選択してしまったことが、やや残念に映りましたね。

5着 ギュスターヴクライ
3~4コーナーの中間点辺りで鞍上がバランスを崩す不利が。パトロールVTRを見直すと、どうも下がってきた馬を交わすスペースが無く、急ブレーキを掛けてしまった様で。それで鞍上がバランスを崩したみたいです。そこからまた立て直し伸びてきましたが、GⅠで一回リズムを崩したツケは大き過ぎたという結果となりました。

9着 ナムラクレセント
離れた3番手を追走するものの、直線で脚を無くし3着。もう少しやれると思いましたが、緩みの無いペースに脚を無くしてしまったのでしょうか。こういったなし崩しに脚を使わされるレースよりも、中間ペースが緩む流れの方が、この馬の自在性を生かし易いのかもしれません。あと、出来れば馬体重は増やしたくはなかったですね。

11着 ヒルノダムール
元々抜群に切れる馬という訳ではないので、この結果でも仕方が無い気もします。どちらかというと長く良い脚を使うタイプなので、好位から自分で動き押し切った、昨年の大阪杯のような競馬の方が良かったのでは。ただ、ここ一連の競馬の結果を見るとリズムが良くないので、一旦放牧に出すなりして立て直すのも、一つの選択肢かもしれませんね。

11着 オルフェーヴル
酷な言い方になるかも知れませんが、今回の大波乱をもたらした最大の元凶。それがオルフェーヴルに跨っていた池添騎手でしょう。以前『オルフェーヴルを後方に控えさせるのが、同馬にとって最悪の選択』という内容の記事をPOSTしましたが、まさにその通りの騎乗振りをみせてしまい、同馬にとって最悪の結果をもたらすことになってしまいました。

スタートを出たにも関わらずガッチリと手綱を押さえ、馬を後方に下げてしまった池添騎手。その結果、前と後ろに馬群が大きく離れる展開を、自ら造り出してしまいます。オルフェーヴルの存在が気になる有力馬は、その存在を気にする余り、そこから動けず金縛り状態に。その隙に前に行った2頭は、自分の競馬に徹してセーフティリードを形成。池添騎手もマズイと思ったのか、3コーナーで動き出しますが、当のオルフェーヴル自身の出来が良くなかったのか、それとも初めて着けたメンコの影響か、動き出してからの反応がイマイチ。それならばと下り坂を利して一気にペースアップを図るものの、4コーナーで躓いてしまい大きく外に膨れてしまいます。その後も直線で何度も躓いてしまう始末で、最後まで同馬らしい末脚は見せれませんでした。

今回の敗因は池添騎手の消極的な騎乗と、いつもらしくなかったオルフェーヴル自身の状態。双方に求めることが出来ると考えています。また直線で何度も躓いていたように、オルフェーヴルが故障が発症していた可能性も否定できないでしょうね。特に故障に関しては今は発症していなくとも、2~3日後に発症するケースも多いだけに、今後の注視が必要です。

15着 ローズキングダム
道中は最後方からの競馬。この競馬内容を見るに、陣営はやはり距離の不安を抱いていたのではないでしょうか。では何故ここに使ったのか?それはオーナー側の要望か、それとも厩舎サイドの選択か。オーナー側の要望であれば、もう少し馬のことを考えろと言ってやりたいし、厩舎サイドの選択であれば、その見る目の無さを糾弾されるべきモノでしょう。こういった明らかに適性外と思われるレースを使ったことにより、その馬の将来の芽が潰されることはよく有ります。どちらの選択にしても、もう少し馬の事を良く考えて欲しいと思いますね。


■感想■

想定していた展開ではありましたが、改めて結果を目の当たりにすると、やはり驚いたというのが正直な感想です。特にオルフェーヴルがあそこまで崩れるとは・・・。敗れても勝負圏内には顔を出すと思っていただけに、競馬の怖さ、難しさを改めて思い知りましたね。

やはり今回の結果をもたらした最大の要因は、池添騎手の騎乗振りだと思います。
こちらが考えていた以上にビートブラックが強かったというのは確かに有りますが、オルフェーヴルがあそこまで消極的な競馬をしなければ、あんなに突き放して勝つことは出来なかったでしょう。馬の実力、当日の馬場状態、レースに挑む騎手の心理、展開。その全てがビートブラックと石橋脩騎手に味方した結果、皆が驚くような結果がもたらされたのだと思います。

池添騎手は今後大いに叩かれることでしょう。それもまあ仕方ないかと思います。もっと積極的な競馬をして、それでいて敗れていたのならば弁解の余地も有りますが、今回は誰の目にも消極的に映る競馬。たとえ大敗の原因がオルフェーヴルの状態にあったとしても、非難を免れる材料とはならないと思います。

的外れな批判・罵詈雑言はやめて欲しいとは思いますが、正当な批判は自身の成長の為にも受け止めるべき。彼はまだ30台半ばと先の有る騎手ですし、これをバネに騎手として、人間として成長して欲しいなと思いますね。


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[ 2012/04/29 21:36 ] レース回顧 | TB(0) | CM(2)
ウイリアムズなら・・・
いつも見させていただいています。
ジャガーメイルの短評に強く賛同します。馬券も買っていたし(苦笑)。ウイリアムズならもっと前づけして2着はあったし勝ち負けもあったと思うのですが。ジョッキーのペース判断能力を問われたレースでした。京都の馬場造園は高速馬場にいじりすぎるのもあるので、対応するのも大変だとは思うのですが。
[ 2012/04/30 08:14 ] [ 編集 ]
健蔵さん
はじめまして。

確かにウイリアムズ騎手なら、もっと前付けして競馬していたでしょうね。
勝ったか負けたかはともかくとして、その方がファンも納得したとは思います。
[ 2012/05/12 23:40 ] [ 編集 ]
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