Photo by JRA
2番人気ながらも、オークス制覇の偉業を多くの競馬ファンに驚きをもって受け止められた
ヌーヴォレコルト。
要はそれだけハープスターが圧倒的存在と受け止められていた訳だが、その反面2着馬に注目が集まりすぎて、ヌーヴォレコルトの陰が薄くなっている感は否めない。
果たしてヌーヴォレコルトのオークス制覇は恵まれたものだったのか?その実力は本当のところどうなのか?同馬のオークスを振り返りながら考えてみたい。
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ヌーヴォレコルトのパドック
6キロの馬体重が増えていたが、スラッとしていて無駄肉のない馬体をしていた。増えた分の殆どは筋肉などの成長分だったと思う。
毛ヅヤはピカピカ。前捌きなどにも硬さは全く見られず、軽さの目立つ身のこなし。この日の馬場にピッタリの仕上がりだっただろう。
ハーツクライ産駒にしては、それ程胴の長さが目立たない体型。しかしトモの幅と丸みは如何にもハーツクライと言えるもので、完成度の高さも同じハーツクライ産駒の中では目立っていたと思う。
桜花賞よりも明らかに研ぎ澄まされていた仕上がり。陣営としては120点の仕事が出来たのではないだろうか。
府中2400mの距離適性
ハーツクライ産駒は父の血の中にあるトニービンの影響か、他のサンデー系種牡馬産駒よりも持久力に優れ、クラシックディスタンス以上で良績を残す傾向が強い。
ヌーヴォレコルトもその父の影響を良く受け継いだ馬体をしているが、反面母父のスピニングワールドの影響も受けついでおり、ハーツクライ産駒の中でも短い距離での融通性も高い印象。
個人的な印象だが、2000mから2400m前後で1番高いパフォーマンスを発揮する馬ではないだろうか。
近年のオークス・ダービーは2000mがベストの馬が好成績を残す傾向が強いが、そう考えると距離の融通性の高いヌーヴォレコルトの好走も肯ける気がする。
岩田騎手の好リードが光ったレース展開
どんな競馬でも出来る自在性の高さがヌーヴォレコルトの最大の武器だが、その自在性を岩田騎手がフルに発揮したと思う。
良いスタートから道中は中団を追走。馬群を嫌がる馬でもないので、思い通りのポジションを取れたのではないかと思う。
岩田騎手の手綱捌きも光った。基本内ラチ沿いのポジションを狙いながら、思い通りに動けるように先手先手を打って進路を確保。徐々に外に持ち出しながら、最後の直線ではこの日一番伸びた馬場の五分処に馬を導く。
そこでもギリギリまで追い出しを我慢すると、ちょうど良いタイミングで前が開き一気にゴーサイン。それまで脚を溜めていたこともあって、ヌーヴォレコルトも鋭く反応し一気に抜け出した。
最後はハープスターにクビ差まで詰め寄られたものの、脚色的にはそこまで劣っていなかったヌーヴォレコルト。着差以上に余裕のあった勝利だったのではないだろうか。
まとめ
2着に敗れたハープスターばかりに注目が集まってしまいがちだが、レースを振り返ってみると、ヌーヴォレコルトの強さも歴代オークス馬に全く引けを取らない高いものだったと思う。
どうしてもハープスターが敗れた敗因ばかりに目が行きがちだが、大事なのはヌーヴォレコルトが強かったから、ハープスターも敗れたのだということだろう。この点を無視して議論しても何の意味も持たない。
これは筆者を含めてそうなのだが、あまりにもハープスターを高く評価するあまり、ヌーヴォレコルトやバウンスシャッセなどの他の馬たちを過小評価し過ぎていた気がする。これは反省しなくてはならないだろう。
たしかにヌーヴォレコルトは不利らしい不利もなく、上位入線馬の中では一番スムーズな競馬が出来た。そのことは否定しないが、最高峰の舞台を勝つ馬というのは運をも引き寄せる力を持っている。
そういう観点から言うと、レースの流れを引き寄せたヌーヴォレコルトは75代樫の女王に相応しい存在であったことは、疑いようのない事実。
ハープスターが敗れたことばかりに焦点を合わせずに、素直にヌーヴォレコルトの走りを称えるべきではないだろうか。
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